大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

高松高等裁判所 昭和32年(う)122号 判決

記録を精査し諸般の情状を検討するに、被告人はすでに昭和二九年四月一六日高松簡易裁判所において窃盗罪により懲役一年、四年間刑の執行猶予の言渡を受け、かつ保護観察に付せられていることが明らかである。しかし被告人は成績良好であるとして昭和三〇年一二月一六日右保護観察に付き仮解除の処分を受けており、前記判決言渡後は真面目に生業に励んでいたものと認められること、本件三回の犯行中二回は友人に誘われたものであり何れも鉄筋屑、古釘の窃取で被害は軽微であるのみならず弁償の方途をも講じておること、犯後改悛の情も顕著であり勤務関係等にも鑑み更生の見込があると考えられるので、さらに被告人の家庭の事情、年令等の点をも勘案し被告人に対しては今一度刑の執行を猶予して更生の機会を与えるのが相当と認められる。しかして前記保護観察の仮解除はその後昭和三二年三月一二日これが取消の処分を受けているところであるが本件犯行は何れも右仮解除中の犯行に係るのでこれが刑の執行を猶予するの妨げとはならない。実刑を科した原審の科刑は結局重きに過ぎ破棄を免れない。論旨は理由がある。

(裁判長判事 谷弓雄 判事 合田得太郎 判事 松永恒雄)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!